このサイト「航空機がある風景」は、全国の空港で撮影した航空機写真をもとに、撮影場所の選び方、構図の考え方、使用機材や撮影設定などを写真付きで解説する航空写真専門サイトです。
実際の撮影体験をもとに、天候や光の条件、撮影時の工夫や失敗例も交えながら、これから航空機撮影を始めたい方や、表現の幅を広げたい方に向けて実践的な情報を発信しています。
- 吹雪のさらに後で

旭川の主役と呼んでいるJL555
この頃になると山にかかっていた雲もやや解消
時々陰りながら降りてくるのに興奮する
やはりこの日もこれが主役だった
Nikon Z8 NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S
荒れた天候が完全に収束へ向かう過程を、航空機と冬景色の関係性で描いた一枚である。構図は横方向のレイヤーが強く意識されており、手前のなだらかな雪原、中景の防風林と畑の起伏、奥に広がる山肌という三層が、画面全体を安定感のあるリズムで支えている。その中を、やや上方に配置された機体が水平に横切り、視線を自然に左右へ導いていく。
特徴的なのは、吹雪後の光がもたらす陰影の豊かさだ。山肌にはまだ雪雲の名残が影として残り、斜面ごとに濃淡がはっきりと分かれている一方で、谷間や雪原には低い角度の陽光が差し込み、白一色になりがちな冬景色に柔らかな表情を与えている。この「完全には晴れきらない」状態こそが、本作の空気感を決定づけている要素と言える。
機体は風景に対して決して大きく描かれてはいないが、その存在感は際立っている。背景となる山のテクスチャーが細かく描写されているため、白い胴体と尾翼のマークが自然と視線を引きつける。主役でありながら、自然を支配するのではなく、あくまでその中に溶け込む存在として描かれている点が印象的だ。
色調は全体に抑制され、派手さはない。しかし、寒色に寄り過ぎない絶妙なバランスが保たれ、冬の厳しさの中に穏やかさと期待感が同居している。吹雪の直後、そしてそのさらに先にある静かな時間帯を切り取ったことで、単なる到着シーン以上の物語性が生まれている。
撮影は高解像度機と600mmクラスの超望遠レンズで、遠景の機体と広大な地形を的確に圧縮している。長焦点ならではのレイヤーの重なりが、実際以上の奥行きとスケール感を生み、厳冬の旭川らしい表情を余すところなく描き出した一枚である。 - 吹雪の後で

今日はもう撮影不能と思わせた吹雪
あっという間に通り過ぎて太陽が顔を出す
そのころに降りてきたのはエアドゥ83便
山々はまだ吹雪の中にいた
Nikon Z8 NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S
荒天から一転して訪れたわずかな静寂を、広大なスケール感とともに切り取った一枚。構図はレイヤー構成が特徴で、画面上部の濃い群青色の空と山塊、中段の陰影を帯びた斜面、下段の白く輝く雪原が、明確な階層を成している。航空機は画面上方に小さく配置され、主役でありながらも風景の一部として溶け込ませることで、「自然の中を通過する存在」という物語性が強調されている。
吹雪直後ならではの空気感も重要な要素。上空は雲が切れ、日差しを受け始めている一方で、山肌にはまだ吹雪の名残が漂い、光と影の境界が曖昧なまま残っている。このコントラストが、刻々と変化する冬の天候と時間の流れを視覚的に語っている。雪原は均一な白ではなく、畑の起伏や防風林のラインが繊細に浮かび上がり、画面にリズムと奥行きを与えている。
色調は全体として寒色系に寄せているが、雪面のハイライトを活かすことで重苦しさを回避している。そこに機体の白と尾翼の差し色が加わり、視線の拠り所が自然に生まれる。あくまで主張しすぎず、しかし確実に存在を示すバランスだ。
撮影機材には高解像度機と超望遠レンズで遠景の機体を確実に捉えつつ、山と雪原を圧縮して配置している。600mmクラスならではの空間の凝縮感が、実際以上の標高差とスケールを感じさせる。吹雪後の不安定な光量の中でも、シャッタースピードとISOを的確に管理し、階調と解像感を両立させた点が、緊張感ある一枚を成立させている。 - チャーター飛来

空き時間にコンビニで珈琲タイム
無線が入りだした
EVA?予定になかった便だ
日没後のいい光の中を帰っていった
Nikon Z8 NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S
雪に覆われた滑走路を進むチャーター機を、冬の大地と空のグラデーションの中に丁寧に配置した一枚。構図の核は、画面下三分の一を占める雪原と、背景に重なる山並み、そして上空の夕焼け空という明確な三層構造。機体は水平構図の中でやや下寄りに配置され、重心を低く保つことで、雪国の静けさと機体の質量感が強調されている。
特筆すべきは色の対比であり、冷たい青系で統一された雪原と山肌に対し、空は黄金色から淡い橙へと移ろう暖色系。そこに機体のグリーンが加わることで、画面全体にリズムが生まれ、主役である航空機が自然に浮かび上がる。背景の山並みは完全に主張せず、ややコントラストを抑えることで、被写体との距離感とスケール感を巧みに演出している。
撮影タイミングは、日没直後のいわゆるマジックアワー。直射光を避け、拡散した斜光を選ぶことで、胴体側面の陰影が柔らかく、塗装の質感やロゴが破綻なく再現されている。雪面からの反射光も加わり、機体下面まで均一な明るさが保たれている点は、冬季撮影ならではの利点だ。
撮影機材は、高解像度のフルサイズ機に超望遠を組み合わせ、背景を圧縮しつつ、不要な情報を整理している。シャッタースピードは走行中の機体を確実に止められる値を確保した。 - たまにはドカンと

今回持ち込んだレンズは単焦点のみ
遠景を600mmで撮った後も追ってみた
背景の旭岳を少しでもと拾った
らしくない一枚だが備忘録として
Nikon Z8 NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S
いつもの撮り方から少しだけ逸れた、いわば“寄り道”的な一枚だ。今回持ち込んだレンズは単焦点のみ。遠景を600mmでじっくり狙うつもりで臨んでいたが、撮影を続ける中で、あえて近距離まで引きつけてみたい衝動が湧いた。背景に広がる旭岳の存在を、ほんの少しでも拾える距離感が残っていたことが後押しした。
通常、この距離まで寄ると、機体の情報量が一気に増える。コックピット周りの造形、機首の曲面、脚周りの構造、塗装の質感。どれも主張が強くなり、画面は簡単に「うるさく」なる。普段であれば避けがちな構図だが、このときはあえて整理し過ぎないことを選んだ。タイトルの通り、「ドカンと」来る迫力を、そのまま受け止めてみたかった。
結果として、機体は画面いっぱいに入り、Jetstarのロゴやコピー、ノーズギアのディテールまで克明に写り込んでいる。一方で、背景には完全に消し切れない冬の山肌が残り、ここが旭川であることを静かに示している。この「完全には切り捨てない背景」が、この一枚を単なる機体アップで終わらせず、記録性を保ってくれた。
600mmという超望遠は、寄れば寄るほど立ち位置のわずかな違いが構図に直結する。機体の進行方向、背景の山の稜線、雪原の入り方。そのすべてを瞬時に判断しながら追い続ける必要があった。狙い通りに整った一枚ではないが、追いかけながら切ったからこそ残った緊張感がある。
正直に言えば、この写真は「らしい一枚」ではない。構図も主張も強く、余白の美しさとは無縁だ。それでも、備忘録として残しておきたかった。撮影を続ける中で、時折こうして感覚を振り切ることで、次に戻るべき自分のスタイルが、より明確になることがある。
- 影の日

1月も半ばなら新雪で撮れると期待していた
少々残念だがまた積もることを期待しよう
前日よりも20分ほど遅れてやってきたJL551
綿密な計算の結果が功を奏した、算数の技術だ
Nikon Z8 NIKKOR Z 20mm f/1.8 S


