吹雪の後で

今日はもう撮影不能と思わせた吹雪

あっという間に通り過ぎて太陽が顔を出す

そのころに降りてきたのはエアドゥ83便

山々はまだ吹雪の中にいた

Nikon Z8 NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S

荒天から一転して訪れたわずかな静寂を、広大なスケール感とともに切り取った一枚。構図はレイヤー構成が特徴で、画面上部の濃い群青色の空と山塊、中段の陰影を帯びた斜面、下段の白く輝く雪原が、明確な階層を成している。航空機は画面上方に小さく配置され、主役でありながらも風景の一部として溶け込ませることで、「自然の中を通過する存在」という物語性が強調されている。
 
吹雪直後ならではの空気感も重要な要素。上空は雲が切れ、日差しを受け始めている一方で、山肌にはまだ吹雪の名残が漂い、光と影の境界が曖昧なまま残っている。このコントラストが、刻々と変化する冬の天候と時間の流れを視覚的に語っている。雪原は均一な白ではなく、畑の起伏や防風林のラインが繊細に浮かび上がり、画面にリズムと奥行きを与えている。
 
色調は全体として寒色系に寄せているが、雪面のハイライトを活かすことで重苦しさを回避している。そこに機体の白と尾翼の差し色が加わり、視線の拠り所が自然に生まれる。あくまで主張しすぎず、しかし確実に存在を示すバランスだ。
 
撮影機材には高解像度機と超望遠レンズで遠景の機体を確実に捉えつつ、山と雪原を圧縮して配置している。600mmクラスならではの空間の凝縮感が、実際以上の標高差とスケールを感じさせる。吹雪後の不安定な光量の中でも、シャッタースピードとISOを的確に管理し、階調と解像感を両立させた点が、緊張感ある一枚を成立させている。

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