十勝岳の迫力

噴煙を上げている十勝岳

これが目の前にあれば是非フレームに入れたい

少々雲に阻まれているが今回はこの便だけ

いい場所で旋回してくれた

Nikon Z8 NIKKOR Z 600mm f/6.3 VR S

この場所、この瞬間に立ち会えたからこそ成立した一枚だと思っている。十勝岳は冬になると、ときに噴煙を上げ、ただの背景ではなく「生きている山」として強烈な存在感を放つ。この日は、山が雲をまといながらも断続的に表情を変え、撮影者としては常にフレーミングの判断を迫られる状況だった。
 
少し雲に阻まれながらも、その隙間から姿を見せる稜線と噴煙の立ち上がりを見た瞬間、「ここに飛行機が入れば必ず撮る」と決めていた。航空機そのものが主役というよりも、この場では十勝岳が主役であり、機体はそのスケールを示すための存在だ。だからこそ、機体を大きく写すのではなく、山に対してあえて小さく配置し、自然の圧倒的な質量感を強調する構図を選んでいる。
 
雲は完全には晴れなかったが、それをマイナスとは捉えなかった。むしろ、山腹にかかる薄雲が奥行きを生み、光が当たる部分と影になる部分が立体的に浮かび上がったことで、結果的に迫力が増したと感じている。噴煙と雲、雪に覆われた斜面が重なり合うことで、冬の十勝岳らしい荒々しさと静けさが同居する表情になった。
 
撮影には600mmの超望遠レンズを使用し、遠景の機体と山を強く圧縮している。これにより、実際の距離以上に機体が山に近づいて見え、緊張感のある画面構成が生まれた。旋回してくれた位置も理想的で、背景の稜線と機体の姿勢が自然に呼応している点は、この日一番の幸運だったと言える。
 
この写真は、計算と偶然が重なった結果だ。十勝岳の表情を読み、そこに飛行機がどう入るかを想像し続けた時間そのものが、この一枚に凝縮されている。撮影者として、迷わずシャッターを切れたことに、深い満足感を覚えている。

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