冬の朝

関東から富士が見える確率、夏と冬では大違い
冬の快晴であれば高い確率で白い富士が望めるのだ
7時発のエアドゥ、これに乗るための道中はまだ暗い
B767がグッと浮き上がるとやはり富士が居た
Nikon Z6Ⅲ NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
空港という人工的な空間と、冬ならではの澄んだ大気がもたらす自然の景色が、最も素直に重なった瞬間を写した一枚だ。関東から富士山が見える確率は、夏と冬で大きく異なる。冬の快晴時、特に朝の時間帯は、その存在感が際立つ。この日も、空気は張りつめるように澄み、視界の奥に白い富士がはっきりと姿を見せていた。
7時発のエアドゥに乗るため、家を出た時間帯はまだ暗く、撮影というより移動が目的の朝だった。それでも、冬の朝特有の「もしかすると」という予感は捨てきれない。空港に到着し、機体が動き出す頃には、太陽は低い角度から滑走路を照らし始めていた。光は強すぎず、影は長く、空港全体がゆっくりと目を覚ますような時間だった。
構図の中で意識したのは、手前のB787と、奥に広がる空港施設、そしてその先に控える富士山の三層構造だ。主役はあくまで動き出す機体だが、富士山が入ることで、この場所、この季節、この時間でしか成立しない背景が完成する。B767が滑走路からふっと浮き上がる瞬間、「やはり富士はそこにいた」と感じたのは、理屈ではなく感覚だった。
50mmという標準域の画角は、広すぎず、情報を詰め込み過ぎない。管制塔やターミナル、駐機中の機体群といった要素が整理され、朝の空港らしい秩序が保たれている。その中で、富士山は決して主張し過ぎず、しかし確実に画面の重心を支えている。
この写真は、狙って撮りに行った一枚ではない。移動の途中、日常の延長線上で出会った光景だ。それでも、冬の朝という条件が揃ったことで、空港という場所が持つスケールと、日本らしい風景が自然に結びついた。冬の快晴の朝は、早起きした者だけが立ち会える時間だ。その静かなご褒美を、機体の動きとともに残せたことに、深い満足感を覚えている。
